キッチンミノルさんの「海」の展覧会が終了したギャラリーで、搬出前の作品をあらためて見てみる。
作品は写真の上にアクリルを貼って、裏面にゲタを履かせるという加工。暗室で、現像液から写真が浮かび上がってくるあの瞬間が好きで、印画紙が水に浮かんでいる感じがとてもきれいだから、そんな感じを出したかった、と。印画紙は水と相性がいいけど、インクジェットはそうはいかないね、なんてことも言ってたな。
撮影は日の出前1時間くらい?の写真だった。4秒という少し長い間シャッターを開けて、波の往来を撮る。
とても穏やかな波。(のように見える。太平洋かな)
雲がある写真は、水面にもその影が映る。
でも雲がない時の海は、海がふんわりと浮いているようにも見え、雲海という言葉にぴったりな写真だ。
それは雲を表現しているのか、海を表現しているのかわからない。
会場に流れていた音楽が、その作品の波の音を表しているようにも思えた。
こんなに音楽と写真が合っている写真展は珍しい。
そして、朝から夜にかけて、写真の色がみるみる変わり、表情が変化していく瞬間が見れたのが本当にうつくしかった。
やさしい方の自分でいられるような、そんな空間だった。